パリオペラ座がストを決行中で、12月からのバレエとオペラの公演が相次いで中止となっています。ストの原因はマクロン大統領による年金改革です。今まで技術スタッフによるストはよくありましたが、ダンサーがストに参加するのは異例中の異例です。

そもそもどれだけ年金をもらっているのか。パリオペラ座バレエ団のダンサーの給料事情を含め、今回はこの事件を見ていきたいと思います。(いろんなところから情報を集めています。)

※3分ほどで読み終わる記事です。この記事を読むと「パリオペラ座でのストライキ」の内容がしっかりわかります。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録あり。ぜひ男性にもバレエを観に行ってもらいたいと思っています。

パリオペラ座バレエ団でストライキ。ダンサーは42歳で定年です

パリオペラ座の年金制度

今回のストライキで多くの方が驚いたのは、パリオペラ座バレエ団のダンサーの定年退職の年齢です。

kazu

その年齢は、42歳!!

42歳を超えるとダンサーとして残ることが出来ない決まりになっています。そして、これが今回のポイントですが、42歳で引退してから年金がもらえる仕組みとなっています。

15年ほど前まで、男性は45歳、女性は40歳で引退でした。ですが、男女平等の観点からこの制度が改革され、男性も女性も42歳で引退することになりました。

ただ、42歳まで踊るダンサーの数は限られてきます。

めがね

途中でやめたダンサーはどうなるんですか?

僕の記憶によると、たしか一度でもパリオペラ座バレエ団に所属した人は年金をもらえる権利があったと思います。「エトワール」というドキュメンタリー映画でみたような気がしていて、在団年数によってもらえる金額が変わります。たぶんですみません。

また、裏方の技術スタッフは55歳が定年となっています。技術スタッフは残るという選択肢はあるみたいです。

ちなみにパリオペラ座で働くスタッフは基本的に国家公務員です。これはダンサーに関しても同じで、国から給料が払われています。

ストライキの状況は?

パリ・オペラ座ではバレエダンサーらが1か月にわたってストライキを続けており、それによる歌劇場の損失額は1200万ユーロ(約14億円)以上に上っていることが分かった。

12月5日にダンサーらがストを決行して以来、バレエとオペラの63公演が中止になり、経済損失はオペラ座史上最高額に達していることを認めた。

ストには技術スタッフや裏方も参加している。これまでオペラ座ではスタッフがストを行った例は何度もあるが、ダンサーがストに参加した前例は同バレエ団の350年の歴史のなかではまれで、世界的なニュースになっている。

損失額が膨らむ中、オペラ座の総支配人を退任予定のステファン・リスネ氏は、今後の上演作品の資金が枯渇することを懸念している。

前回、オペラ座で大規模なストが起きたのは2007年で、このときは17公演が中止になり、損失額は320万ユーロ(約3億9000万円)だった。

パリAFPより

マクロン大統領による年金改革

フランスの年金制度は、42種類に分かれています。今回マクロン大統領は、定年が一般よりも早い「特定部門」に対する特例年金の改革を進めたい考えです。マクロン大統領は、どの年金であっても一律64歳から年金を支給する案を示しました。

すべての年金制度を1本化しようという政府の方針に、「特定部門」にあたるフランス人がストライキを起こしています。

パリオペラ座のダンサーや職員だけでなく、鉄道職員も含まれていて、フランスは大混乱中。パリにいる友人の話によると、電車は朝と夕方に2時間程度、かつ間引き運転とのこと。東京の通勤ラッシュ並みの満員電車となっているそうです。

ダンサー28人による抗議のダンス

オペラ座のダンサーはどれくらい年金をもらっているのか

Because of the strenuous physical labor involved in their work, the opera singers and ballet dancers in France’s prestigious national company can retire at 42, at which point they receive a baseline pension of 1,067 euros (about $1,190), which they can supplement with other jobs.

(意訳)肉体を酷使する仕事のため、フランスの名門であるパリオペラ座のオペラ歌手とダンサーは42歳で引退することになっています。基本給として1ヶ月に1,067ユーロ(13万ほど)を受け取ることができ、他の仕事につく際の補助になります。

ワシントンポスト(2019/12/23)より

月におよそ13万ほどが基礎的な額となっています。これはたぶんですが、階級が上がるほど年金額も上がるはずです。ちなみにオペラ座は5階級に分かれています。

パリオペラ座バレエ団のダンサーの階級

一番下から、
Quadrilles(カドリーユ)
Coryphees(コリフェ)
Sujets(スジェ)
Premiers danseurs (プルミエ・ダンスール)
Etoile(エトワール)
です。

パリオペラ座バレエ団には、154名ものダンサーがいます。うちストに参加しているのは120名とのこと。

毎年入団できるのは、その年の状況によりますが5人ほどで、10人まではいかないと思います。在籍人数が決まっているので誰か辞めない限り、入団することができません。

この人数を多いととるか、少ないととるか…。どの調査か忘れてしまいましたが、フランス国民の50%がダンサーの年金制度は今のままでいい、との世論調査の結果が出ています。でも逆に言うと、半数の人が反対しているので、まさに意見が二分されている状態です。

およその給料

1997年に出版されたデータなのでかなり古いですが月給も具体的にご紹介します。

Quadrilles: about 12900- 14900 francs/ month.
Coryphées: 14700- 17000 FF/month.
Sujets: 17400- 20100 FF/month.
Premiers danseurs: 20600- 23800 FF/month.
Etoiles: depending on their contract.

値段はユーロよりも前の、フランで表記されています。この時1フラン5.5~6.5ドルです。1997年は、1ドル120円ほどが平均でした。ということで、1フラン6ドル、1ドル120円で月給を計算してみます。

Quadrilles(カドリーユ):258,000円~298,000円
Coryphees(コリフェ):294,000円~340,000円
Sujets(スジェ):348,000円~402,000円
Premiers danseurs (プルミエ・ダンスール):412,000円~476,000円
Etoile(エトワール):個人によって変わるが、476,000円よりは高いと思われる

参考程度にどうぞ。

マクロン大統領の妥協案

最新の記事では、マクロン大統領が妥協案を出したことが報道されています。現在在籍している団員の待遇はそのままで、2022年から入団の団員に64歳からの年金を適用する、との考えを示しました。

とにかく年末の公演が行われなかったことで、旅行をキャンセルした人も多いようで、日本人にも少なからず影響が出ています。また、パリオペラ座バレエ団ではエトワールが引退する際、アデュー公演という特別な公演が行われます。

実は2019年の12月、エトワールのエレオノーラ・アバニャートが引退公演を行う予定でした。ですが、公演が出来ず延期となってしまいました。

パリオペラ座来日公演が2020年2月に

最後に来日公演情報です。

僕はパリオペラ座バレエは15年ほど前かなり観に行っていました。その頃は人材が豊富でした。どのダンサーを観ても当たりで、特にニコラ・ル・リッシュが好きでした。

今回の公演のキャストは、エトワールが全然来ません…。どうやら日本に来る時期と同時期に、パリでも公演があるようです。このキャストで、一番いいS席が26,000円。高いかなー、と正直思います。

あとパリオペラ座バレエ団の公演はキャスト変更が頻繁に行われるので注意が必要です。なので、ホームページをちょくちょくチェックすることをオススメします。

kazu

ということで今回は「パリオペラ座バレエ団のストライキ」をご紹介しました。
どうもありがとうございました!