アメリカ万歳バレエともいえる「スターズ・アンド・ストライプス」。30分ほどの作品ですが、フルバージョンを日本で観るのはなかなか難しいかもしれません。

衣装がとてもかわいくて、人形が踊っているようバレエです。

kazu

今回はジョージ・バランシン振付の「スターズ・アンド・ストライプス」をご紹介します。

※3分ほどで読み終わる記事です。この記事を読むと「スターズ・アンド・ストライプス」の作品がわかります。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録あり。ぜひ男性にもバレエを観に行ってもらいたいと思っています。

バレエ「スターズ・アンド・ストライプス」のあらすじと解説

スターズ・アンド・ストライプス

「Stars and Stripes」は、ジョン・フィリップ・スーザが作曲した「The Stars and Stripes Forever」という曲がもとになっています。この曲には「星条旗よ永遠なれ」という邦題がついています。

そもそもアメリカ国旗である星条旗のことを「The Stars and Stripes」といいます。というのもアメリカ国旗は、星のマークと、ストライプ模様になっているからです。

ジョン・フィリップ・スーザ

「マーチの王」と呼ばれ、100曲以上のマーチング曲をつくっています。

また、マーチングで使うマーチング用チューバ「スーザフォーン」を考案し、19世紀のバンド音楽の発展に貢献しています。

アメリカでは、7月4日「独立記念日」に軍事パレードが行われます。ジョージ・バランシンがこの軍事パレードに触発されてつくったバレエが「スターズ・アンド・ストライプス」です。

特に「星条旗よ永遠なれ」という曲はアメリカの国家的行事で聞くことができ、ジョージ・バランシンは純粋にこの曲が好きだったといわれています。ネルソン・ロックフェラーがニューヨーク州知事になったときにも聞く機会があったようです。

愛国心にあふれる作品なので、アメリカ以外の国で観るとなんとも微妙な気持ちになる作品です。この曲は、実は日本人にも馴染みがあって「スターズ・アンド・ストライプス」をみると「運動会」を思い出してしまうかもしれません。

とにかく、とても前向きになる作品です。

衣装がとても可愛らしく、バレリーナは白い靴下をはいています。振付はかなり独特で、敬礼のポーズも可愛らしいです。

5つのパートに分かれていて、そのうちの第4パートがパ・ド・ドゥとなっています。このパ・ド・ドゥは時々ガラ公演で観ることができます。このパ・ド・ドゥはアメリカ万歳という感じではなく、おもちゃの兵隊が踊っているようでお茶目なパートです。

制作

振付:ジョージ・バランシン
衣装:カリンスカ
作曲:ジョン・フィリップ・スーザ
編曲:ハーシー・ケイ
舞台:デビッド・ヘイズ
照明:マーク・スタンレイ

初演:1958年1月17日(ニューヨーク・シティセンター)
上演時間:28分

ニューヨーク・シティセンター(現ディヴィッド・H・コーク劇場)のこけら落とし公演です。

5つの “campaign(作戦)”

「スターズ・アンド・ストライプス」は5つのパートに分かれ、それぞれのパートに副題がついています。

1st campaign:Corcoran Cadets

第1パートは「コーコラン士官候補生」。1人の女性ソロ(バトンを持つ踊りがあり)と、12人の女性で踊られるパートです。

衣装のインパクトが強いです。

2nd campaign:Rifle Regiment

第2パートは「ライフル連隊」です。こちらも1人の女性ソロ(バトンを持つ踊りがあり)と、12人の女性で踊られるパートです。

第1パートと構成が同じですが、衣装の色が赤のチュチュから青のチュチュにガラッと変わります。

3rd campaign:Thunder and Gladiator

1人の男性ソロと12人の男性で踊られます。とてもスピーディーで小回りが求められる踊りです。バレエ団の中でも背が小さめの男性ダンサーが踊ることが多いです。

切れ味抜群、高度なテクニックでとても盛り上がるパートです。

ニューヨーク・シティ・バレエ団ホームページより

4th campaign:Liberty Bell、El Capitan

第4パートは主役ふたりのパ・ド・ドゥです。女性が「自由の鐘(Liberty Bell)」で男性「キャプテン(El Capitan)」というキャラクターとなっています。

女性は思わせぶりに男性を翻弄しながら、とても生き生き楽しそうに踊るアメリカンガールのイメージです。男性は自信満々で、茶目っ気のあるキャラクター。バランシンが思うアメリカンガールとアメリカのイケてる男という感じなのかもしれません。


タイラー・ペックとゴンザロ・ガルシアによる踊り。盛り上がっています。

5th campaign:The Stars and Stripes Forever

最終パートの「星条旗よ永遠なれ」ではすべてのダンサーが登場し、41人が舞台に集まります。さきほどの2人も帽子をかぶって登場するので、みんなが帽子をかぶります。

最後には星条旗が背景に登場すると、自然と観客席は拍手につつまれます。

第3パートの主役の男性が、第1パート・第2パートの主役の女性と一緒に踊ります。男性は背が小さいことが多く、女性が背が高いことが多い。すごくアンバランスなペアが出来上がってしまうときがあります。僕もニューヨーク・シティ・バレエ団でみたとき、ダニエル・ウルブリクトが小さく、ペアの女性の背が高かったので、客席から若干悲鳴が上がっていました。


こちらは昔の映像で、第4パートから観ることができます。最後のパートのカメラアングルがぐるんぐるんしてしまっているのが、ちょっと残念です…。

1984年ロサンゼルス・オリンピック

「スターズ・アンド・ストライプス」はオリンピックで踊られたこともあります。第5パートの最終部分が踊られました。

有色人種のバレエ団「ダンス・シアター・オブ・ハーレム」が踊る「スターズ・アンド・ストライプス」です。

もともとニューヨーク・シティ・バレエ団にいた黒人初のバレエダンサーであるアーサー・ミッチェルがつくったのが「ダンス・シアター・オブ・ハーレム」です。

2020年「Black Lives Matter(黒人の命は大事)」運動が起こっている状況をみても、とても意味のある作品だと思います。

kazu

僕はアメリカ人でもないですが、最後のシーンをみるとジーンときてしまいます。

今回は「スターズ・アンド・ストライプス」をご紹介しました。
ありがとうございました。